たまに書くかもしれない

(年齢だけは)大人のジャニオタの吐き捨て場的なもの

『ネバー・ザ・シナー -惹かれ合う狂気-』観てきた

1920年代のアメリカで実際に起きた強盗殺人事件を舞台化。

辰巳だ!林くんだ!よっしゃチケット取るで!ってテンションでチケット取りましたけど、よく見たら演出が君塚さんってのにびっくりして、それが一番楽しみだったりもした舞台です。だって君塚さんですよ!?私からしたら踊る大捜査線じゃないですか。ほんとこういうの嬉しいなぁ。最初はキャストで勢いでチケット取るけど、本当に様々な部分に見どころがある。楽しい。

さて本作、『スリル・ミー』というミュージカルもあるみたいなんですけど、私はまったく知らなかったし何ならこの事件も知らなかったので、一応予習して観に行ったんですけど実際の事件の予習ばっかしてて舞台そのものの予習をあまりしておらず、わりと直前も直前になって、『検察側の証人』に続いてこちらも法廷モノだということを知った。しかも次が手紙なので殺人事件3連チャン(てか4連チャン)でメンタルおかしくなりそう。

法廷シーンは検察側よりももう少し淡々と進んでいくのだけど、だからこそ姜さん演じるクロウ検事と磯部さん演じるダロウ弁護士の話が刺さる部分もありますね。磯部さんめっちゃ渋い声で良かったな…姜さんも私ちゃんと観たのイケメンパラダイス(古すぎる)以来では?渋いおじさんになられておりまして…かっこよかった…。

 

とりあえず辰巳と林くん両方ともヤバかったです。

ニーチェの超人思想に傾倒していたレオポルドとローブという2人の大学生が自らの優位性を立証したいがために行った殺人ということで非常にセンセーショナルで話題にもなったということなんですけど、これをよくジャニーズでやったよなというのがちょっとあります。

これをジャニーズでやるっていうことはジャニオタが観に行くということで、ショー的な面で絶対に売れそうというのもあるけど実際の事件をオモチャのように扱うことは勿論できないわけで、そのバランスが非常に難しい作品だと思うんですよね。

演じる側も観客もめちゃくちゃ試されている気がする。

そういう意味では辰巳も林くんも、そういう目で見られてしまう以上に2人の鼻持ちならない感じだとか子供っぽさだとかそれ故の残虐性、自分勝手さそして2人だけで閉じてしまった世界の説得力が凄くて、だからこそ今度は受け取る側がめちゃめちゃ試されてるなってのを感じました。何言ってるかよくわからない私も。

殺人に至るまでの流れと2人のやりとり、それから法廷で裁判にかけられる姿が入り混じった構成だったので、ある程度事件の概要を予習していって良かったなって思った。

レオポルドとローブの細かい感情の揺れや仕草がみるみる変化していく様がよくわかる。

たとえばローブは終始レオポルドにも優位を保とうとしているような言動が多くて、そこだけ見ると「サイコパス」というよりまだ単なる子供に近いなぁと思ったんですよね。それかレオポルドに甘えている。とはいえ車内での殺人の場面は迫力あったけど。そのメリハリが凄いのよね辰巳は。目を見開いて、自分が全知全能の神なのだと周りに知らしめるかのような表情。突然大声を出したり、かといえばレオポルドを誘惑(?)する姿は大変にセクシーだったりもする。

逆にレオポルドはちょっと弱気に見える。ローブとの会話そのものだけでは、そこまでローブに心酔しているようには見えない。ローブみたいに子供っぽい振る舞いは絶対にしないし思慮深ささえ感じられるんだけど、そこに「彼のローブへの目線」が加わるとだいぶ話が変わってくるんですよ。潤んだ瞳とも違う、欲望に塗れた瞳とも違う、恋焦がれている瞳とも違う、だけど明らかに、ローブへの情念というか欲求というか、なんか一言では表せないねっとりとした視線を向けてて、とにかく見てはいけないものを見てしまっている背徳感が凄かったですね。私は林翔太くんのお芝居を観るのが初めてなので余計なんですけど、うわーーーーーこの人すご!!!もっとこの人のお芝居観てみたい!!!って思ったなぁ(そしてフットワーク軽い感じで軽率に情報サービス加入した)。レオポルドの独白で、自分はローブが食べるパンになりたいみたいなこと言ってた気がしたんですけどまさにそれな!!って思った。そういう愛し方だろうなってのがその目線でわかる。車の中でボビーを殺し、死体を捨てたあとにそれを観たレオポルドが「血を舐めた」って言いますよね。んでローブが「今度は僕も舐めたいな」って言いますよね。レオポルドって、ローブの血を舐めたいって思ってそうって感じましたよね。そういう愛し方なんだと思うんですよねレオポルドのローブへの愛って。

要するに何が言いたいかっていうと林くんが凄くって、林くんのお芝居に興奮しているんですよ私は。新しい出会いって(実際の出会いでは断じてない)興奮するよね…。

 

で、中盤まではローブのほうが強気強気で優位性を保ってたのに、裁判の途中から明らかに潮目が変わる瞬間があって、そこから最後のローブの慟哭が圧巻でした。

レオポルドにすがって泣くローブの子供っぽさ(ここがやっぱり「子供」だと思う理由の一つでもある)と、何よりレオポルドの「(自分たち、だったのかローブが、だったのか興奮で忘れた)超人じゃなかったな」っていうその言い方と表情な!!ウワーーーー!!!!って思った(語彙力がない)。

辰巳のSHOW BOYからの振れ幅の凄さにも圧倒されたけど、初見な分林くんのお芝居に心惹かれまくったのであった…。
あとはまぁどうしても、邪な感想になりますけどスリーピース万歳!!って感じだよね。って寺西のときも言ったね。言ったけどまた言うね。スリーピース良いね…。

あと場面転換のたびに上着を脱いだり着たりするのも大変良かったです…林くんの上着の着方(?)がそれはもう好みすぎて、なんかそれで好きになってしまったんじゃないか説ある。

そして大きな声では言えないけども辰巳の指遣い(?)が大変セクシーなのと、あとチュッチュチュッチュするのも本当にお昼からやめていただきたい。嘘です眼福でした。あーもうこういう感想やっぱり言いたくなっちゃうんだよね…ずっとこんな目線で観てたわけじゃないです信じてください、ガッツリ舞台に没入してたんですよ信じてください。

裁判が進むにつれてしぼんでいくローブと逆に達観していく感じすらするレオポルドの対比が観ていておもしろいんだけど、結局最後はどうして殺人なんてしたのか、という問いにブチ当たる。

検察側の証人と立て続けに法廷モノ観ているのでどうしても一緒に引き摺っちゃうんだけど、こちらのほうが考えても考えてもわからないことだらけだよね。ニーチェを履修してないのでそこも掘り下げないといけないなって思うし、あと2人の関係性の上に成り立ってしまった殺人なので、根本を考えようとすると2人の関係って何だったんだろうってなる。

ラストシーンはレオポルドとローブが初めて出会うシーンなのだけど、ほんとこういう構成弱いんだよな…終わりを知った状態で遡っていくの心抉られるわー。

惹かれ合う狂気というよりは、惹かれ合って誕生してしまった狂気って感じだけど。

だから出会わなければこんなことにはならなかったような気がする。

でもやっぱりどこかで出会ってしまい、惹かれ合うんだろうな。

 

 

ネバー・ザ・シナー -惹かれ合う狂気-【9/7昼】

カテコのあとはスタンディングオベーション。2人残って再度お辞儀。

2人ともとても良い表情に見えました。もっともっと大きな拍手で「よかったよ!」を伝えられるようになりたい。